~ニット糸の秘密~原毛の「いいとこ」を使ってニットはつくられる

織り糸よりニット糸の方が高くつく理由

紡績の人と話をしていると「この原毛ではニット糸は無理だから織り糸にするしかないね」というようなことを聞くことがあります。

実は、糸を作る上で一番良い原料を使うのはニット糸なのです。
なぜニット糸はグレードが高いのでしょうか。

 

それは撚りの甘さです。
丈夫な糸を作るためのポイントは、繊維の長さと撚りの回数です。

沢山の撚りをかければかけるほど糸は丈夫になりますが、回数に比例して硬くなってしまいます。

柔らかさを求めるニット糸。丈夫さを求める織物糸。
各々に適度の強さがあり、それに合わせて糸造りをするんです。

細い糸にひくには、束ねる繊維の量は別として、撚りを強くかければ丈夫でかなり細い糸でもひくことができます。
しかし、ニット糸の場合はふんわりした糸が命ですから強く撚りをかけることができません。

アバウトな数字ですが、ニット糸は1メートル当たり240回ぐらいの撚りをかけているそうですが、織り糸は400回から440回ぐらいの撚りをかけるそうです。
強い撚りをかけられないので、一本一本の原料の繊維が長くなければなりません。
その「長く細い繊維」は高価なのです。

ニットの匠たちは、糸を編み機にセットしてちょっと編んだだけで糸の良し悪しが分るといいます。
ウール以外の糸は、ある程度強い撚りがかかっていますので素抜けしたり切れたりはあまりしません。

ウール、特に紡毛と言われるカシミヤ(カシミア)、アンゴラ、モヘヤ、キャメル、アルパカなどはそれぞれの原料の特徴もあり、繊維の長さをはじめ撚りの回数などで違いが出るので知識と経験が必要です。

カシミヤは繊維が短いと素抜けしやすい、撚りが強すぎると縮絨しても風合いが出にくい。アルパカはいちばん素抜けしやすく毛が他に着きやすい。アンゴラは毛が切れやすく埃のように飛び散るし、モヘヤもストレートな繊維なので伸度が弱く編むのに苦労する、等々……。

けっこう奥が深く、面白いですね。

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