~毛を刈れないカシミヤ~春に生え変わる、カシミヤ山羊の冬のうぶ毛を頂きます!

オーストラリアやニュージーランドなどの羊毛産地から送られてくる映像などで、丸々としたヒツジを熟練の職人さんが電気バリカンで刈ると、瞬く間に丸裸にされ、可愛そうなくらい貧相なヒツジが現われる収穫シーンを見ることが有りますね。でもカシミアの収穫はこういう具合に簡単ではないんです。

 

 カシミア山羊の毛は二種類に分かれています。一つはヘアーと呼ばれて、表面を被っている長くてゴワゴワしている剛毛。もう一つがウールと呼ばれ、ヘアーの内側にあるうぶ毛で、水鳥の羽毛みたいなもので、このうぶ毛が大変細く弾力性がありセーターや服地に使う、「ウールの宝石」と呼ばれる、カシミアの原毛なんです。

 

 硬く長い毛の間に生えているうぶ毛ですので、熊手みたいな櫛で梳き取るしかなくかなりの手間と時間がかかります。

 2007年に初めてカシミヤの故郷の中国・内モンゴルの阿拉善(アラシャン)を訪れたときに、カシミヤ牧民の杜さんに毛梳きの体験をさせてもらったことがあります。

 毛を梳くので、「カシミヤは痛くないのかなぁ?」と、かなり心配でしたが、杜さんが、「冬毛から夏毛に生え変わる時で黙ってても落ちてしまうので全然痛くないよ」と笑った顔にとっても安心しました。

 実際に毛梳きの時のカシミヤ山羊はおとなしく、とろ~んとした目をしていますが、毛を梳くほうの私は5分もすると腕がパンパンになってきます。1頭の毛を梳くのに小一時間かかるのでかなりの重労働です。

 

 産毛を梳かれたカシミヤはさっぱりして、床屋さんに行った感じです。昼近くになると外の気温は30度を越えています。空気が乾燥しているので汗はかかないけど太陽の光はとっても強烈です。これからは40度近い日が続くということなので冬毛のままではそれこそ暑くてかわいそうです。

 内モンゴルまで来て実際に毛梳きを体験させてもらうまでは、「ひょっとすると、カシミヤが人間の為に強制的に産毛を取られるのでは」という心配が心の隅にあったので、牧民とカシミヤの良い関係を知ることが出来て、「自分の仕事はカシミヤの犠牲の上に成り立っているんじゃなく、あの可愛いカシミヤにとっても良いことだ」と知って心底安心した想いがあります。

 

 柔らかいうぶ毛を集めて砂やゴミや硬いヘアーなどを取り除くと一頭から採れる量はわずか一七〇グラム前後。最終的にはセーター一枚作るのに三頭分の産毛が必要だといわれています。

 その毛は、色、長さ、太さなどで等級に分けられます。

 一口にカシミアと言っても毛のグレードによってピンからキリまであるんです。もちろん値段もかなりの差があります。 うと

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