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カート

カートが空です

糸ってなんだろう?

素朴な疑問ですが、ってなんでしょう?

糸とは、『ある程度の長さと細さの繊維を束ねて、撚りを掛けて長くしたもの』かな?

東京農工大の先生に聞いたんですが、実は正式な定義がないそうです。
一般に糸より太いものを紐(ヒモ)と呼んでいるし、縄はもっと太い。でもどの太さが糸で、どこからヒモになるのかはわかりませんね。

「糸」ってなんだろう?



ニットに関係あるのは糸。せいぜいヒモまで。
ヒモといえば、1990年頃、テープヤーンというヒモでニットに編んだのが流行ったことがありますね。

糸の原料である天然繊維の一本一本はそんなに長くはありません。カシミヤ原毛の長さは10〜43ミリ、かなりのばらつきがあり超高級カシミヤで平均40ミリ前後、羊毛はいろんな種類がいて長短があるようですが25ミリから150ミリぐらいです。綿でも30〜40ミリで超長繊維と呼ばれます。

繊維の太さはカシミヤの直径がだいたい14ミクロン(ミクロンは1/1000ミリ)前後です。
ちなみに高級羊毛のジロンラムが17.5〜25ミクロン、アルパカ24〜31.5ミクロン。モヘヤはもう少し太くて34.5〜40ミクロンといったところ。

ですから、いかにカシミヤが細いかお分かりでしょう。

 

「わた」は繊維のかたまり



繊維のかたまりが『わた』。その繊維を束ねて撚りを掛けるとひっぱっても抜けませんね、これが『紡ぐ』ことで、わたから糸にする(紡績)作業です。
UTOがメインで使っている糸はカシミヤ(カシミア)100%の26番双糸という糸です。26番というのは糸の番手のことで、どのくらいの細さの糸かを表します。

そこで番手です。ウール番手は(注:綿番手は違います)ウールのわた1gを1メートルに引いて撚りをかけたのが1番手の糸(実際は撚りをかけながら引く)ですから、26番手とは1gの糸を26メートルに引いて撚りをかけた糸ということです。


1gのわたを1m撚れたら1番手

1gのわたを26メートルとは頭では理解できますが、なかなか現実味がありませんね。
しかし実際に職人さんが、1gのわたを26メートルに手で紡ぐのを見せていただきビックリしました。まさに匠の技です。

撚りをかけた糸を巻き取り暫くすると糸は安定してきます。
先ほどの糸は詳しく言うと26番単糸です。もちろんこの糸でセーターを編むことは出来ますが、この糸にもうひと手間を掛けます。

それが双糸(そうし)加工です。上撚りと下撚りの2本の糸で撚りを消しあって、安定した糸にするんです。
26番の糸が2本撚り合わさっていますから太さは13番単糸の太さです。

余談ですが、双糸加工をするときに違った色の糸を撚りあわせる事で複雑な色の杢(モク)糸を作ることも出来ます。3本を撚り合わせた糸のことをミッコとかミコと呼んでいます。

糸の番手は数字が低くなるほど太い糸になります。自分なりの基準になる番手を頭の中に持っていると便利です。
ウールのセーターは「ゲージと同じ番手の糸を使うのが適番」と覚えていれば当たらずとも遠からじです。

 

ニット糸と織り糸の違い



紡績の人と話をしていると『この原毛ではニット糸は無理だから織り糸にするしかないね』というようなことを聞くことがあります。

みなさん、驚きでしょうが糸を作る上で一番良い原料を使うのはニット糸なんですよ。 なぜニット糸はグレードが高いんでしょう。

それは撚りの甘さです。
丈夫な糸を作る為のポイントは繊維の長さと撚りの回数です。沢山の撚りをかければかけるほど糸は丈夫になりますが回数に比例して硬くなってしまいます。
柔らかさを求めるニット糸。丈夫さを求める織物糸。各々に適度の強さがありそれに合わせて糸造りをするんです。

細い糸にひくには、束ねる繊維の量は別として、撚りを強くかければ丈夫でかなり細い糸でもひく事が出来ます。 しかし、ニット糸の場合はふんわりした糸が命ですから強く撚りをかけることが出来ません。
強い撚りをかけられないなら、一本一本の原料の繊維が長くなければ抜けてしまいます。ふんわりした糸を作りたいのに強い撚りをかけられないから『長い繊維の原料』を使うしかありません。その長く細い繊維は高価なんです。

これは、アバウトな話。ニット糸は1メートル当たり240回ぐらいの撚りをかけているそうですが、織り糸は400回から440回ぐらいの撚りをかけるそうです。
ニット糸は撚りが甘いので、強く引っ張ると抜けてしまいます。甘い撚りでも抜けないためには出来るだけ長い繊維を使うしかないんです。
長い繊維ほどグレードも値段も上がります。(その割にはニットは格安のような気がします)

ちなみに、ニットの匠は糸を編み機にセットしてちょっと編んだだけで糸の良し悪しがわかるといいます。
ウール以外の糸はある程度強い撚りがかかっていますので素抜けしたり切れたりはあまりしません。 

ウール、特に紡毛と言われるカシミヤ、アンゴラ、モヘヤ、キャメル、アルパカなどはそれぞれの原料の特徴もあり、繊維の長さをはじめ撚りの回数などで違いが出るので知識と経験が必要です。カシミヤは繊維が短いと素抜けしやすい、撚りが強すぎると縮絨しても風合いが出にくい。アルパカはいちばん素抜けしやすく毛が他に着きやすい。アンゴラは毛が切れやすく埃のように飛び散るし、モヘヤもストレートな繊維なので伸度が弱く編むのに苦労する。等々……。

 

「織物」は生地になってからが勝負?



一方、織り糸の場合はかなりの撚りをかけてしっかりした糸を作ります。縦糸を張り、横糸を通しながら織り込んで、その上に筬で詰めて一枚の布にするので糸はしっかり丈夫でなければなりません。その為には撚り回数を多くして引っぱりに強い糸にするんです。

カシミヤの織物はその生地の表面を引っかいて毛を立たせて独特の織り物を作ります。その毛羽立ちの良さが布地の評価を大きく左右します。
昔から生地を引っかいて毛羽立たせるのに野生の“あざみの実”のイガイガを使ってきました。そのためにヨーロッパの高級生地生産工場では自家栽培であざみを育てていたんです。この頃は金属製等の代用品もあるそうですが、やはり天然の“あざみの実”に勝るものはないそうです。

その毛羽立ちの技術を誇るかのように、カシミヤの織り物のメーカーにはあざみの実のマークをよく使っています。カシミヤ織り物の代表と言われるロロピアーナやカリアッヂのマークも“あざみの実”のデザインです。

このように同じ原料の繊維を使っても糸に対する要求が違うので原料の選び方もちがってきます。けっこう奥が深く面白いですね。

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