カシミヤって何?特徴や等級について
寒い季節に大活躍するカシミヤは、高級素材として知られています。
この記事では、カシミヤの起源や特徴、他の素材との違い、暖かさの秘密についてわかりやすく解説します。
さらに、カシミヤの選び方とお手入れ方法や、カシミヤ製品をより深く理解し、賢く活用するヒントもご紹介します。
カシミヤは何の動物の毛?他のウールとの違いは?
カシミヤ(カシミア)は、ヒツジの毛と思われがちですが、実は「カシミヤゴート」という山羊の毛です。
カシミヤ原毛の主な産地は、中国、モンゴル、イラン、アフガニスタン、ロシアといったアジア地域。これらの国々では、冬は零下30度以下、夏は30度を超える厳しい気候条件の中で育てられています。
昔、ヨーロッパの人々がカシミヤ山羊を大量に飼育しようと連れて帰り、育てたことがあったそうです。しかし、原産地よりも気候が穏やかなヨーロッパでは、細かくて柔らかいうぶ毛がほとんど生えなかったそうです。
あの軽くて柔らかいカシミヤのうぶ毛は、厳しい気候から身を守るために自然がカシミヤゴートに与えた特別な贈り物なのです。
カシミヤってどうしてあんなに暖かいのか?
カシミヤの魅力は、何といってもその暖かさ、ふんわりとした柔らかさ、そして軽さです。
では、なぜカシミヤは軽くて柔らかく、さらに暖かいのでしょうか?
暖かさを保つには、「外の冷たい空気が私たちの熱を奪うのを防ぐこと」と「体温を逃がさないこと」が重要です。これを担うのが、私たちが身につける衣服です。衣服は外気から体を守るだけでなく、動きやすさや軽さ、適度な熱交換などさまざまな機能が求められます。それらの総合評価が高いものが「着心地が良い」と感じる衣服です。
衣服で暖かさを保つ重要な役割を果たすのは、実は「空気」です。
空気は動くと(風のように)肌熱を奪い、寒さを感じさせますが、動かない空気には高い断熱効果があります。これを「熱伝導が低い」と表現します。
たとえば、“二重窓”を思い浮かべてください。二重窓は、ガラスとガラスの間に空気を閉じ込めることで断熱効果を発揮しています。同じ厚さのガラスだけでは、外の暑さや冷たさが伝わり、二重窓ほどの効果は得られません。
二重窓で最も優れた断熱材は空気なのです。衣服も同様に、「暖かい」と感じるためには、熱伝導率の低い空気をどれだけ効率よく蓄えられるかが鍵となります。
衣服のほとんどは、糸から織ったり編んだりして作られています。
その糸の原料は、植物の綿や麻、動物の毛(ウール)、昆虫の繭(シルク)、さらには合成繊維や化学繊維など、多様な素材が用いられます。
これらの素材にはそれぞれ特徴があり、用途に応じて使い分けられます。その糸は、原料となる綿や毛を束ねて撚り合わせて作られます。
同じ太さの糸であれば、原料となる綿や毛の繊維が細ければ細いほど、多くの空気を抱えられますよね。
ウール(カシミヤ)製品は、動物の毛を原料とした糸から作られる製品です。
人類はヒツジをはじめ、アンゴラ、キャメル、アルパカ、モヘヤなどさまざまな動物の毛を利用して糸を紡ぎ、衣類を作ってきました。その中でも、市場に出回る動物の毛の中で一般的にカシミヤの毛が最も細いとされています。
種類 | 繊維の細さ(マイクロン) |
ビキューナ | 約10~14 |
カシミヤ | 約14~18 |
シルク | 約19~50 |
モヘア | 約30~50 |
一般のウール | 約18~50 |
人間の毛髪 | 約50~70 |
繊維が細いということは、軽くて柔らかく、繊細であることを意味します。
ウールの中でカシミヤよりも細い毛を持つ動物として、ビキューナやチルーが挙げられます。ビキューナはアンデスの高地に野生で生息しており、特別なルート以外では商業的に流通していません。そのため、実用面ではカシミヤが最も細い毛と言えます。
カシミヤの繊維の太さは、約13.5マイクロン(1マイクロンは1/1000ミリ)から16.5マイクロンです。モヘアは約34~40ミクロン、多くの羊毛はおおよそ20ミクロン前後であるため、カシミヤの細さが際立っていることがおわかりいただけるでしょう。
この細くて柔らかい繊維は、多くの空気を抱え込むことで、私たちを暖かく包み込んでくれるのです。
カシミヤ製品が高価な理由
カシミヤ山羊の毛は、大きく2種類に分かれます。
1つは「ヘアー」と呼ばれる、表面を覆う長くてゴワゴワした剛毛。もう1つは、その剛毛の内側に生えている「うぶ毛」です。
このうぶ毛は非常に細く、弾力性があり、セーターや服地などに使われています。
うぶ毛を収穫するには、熊手のような櫛で丁寧に梳き取る方法しかありません。そのため、収穫には多大な手間と時間がかかります。
さらに、梳き取った毛から砂やゴミ、剛毛などを取り除く必要があります。
その後、細いうぶ毛だけを選別し、最終的に1頭から採れる量はわずか100グラム程度です。セーター1枚を作るには、2~3頭分のうぶ毛が必要とされています。
このようにカシミヤは非常に貴重で、採取もバリカンで刈るのではなく、手作業で丁寧に行われるため、多くの手間がかかるのです。
同じカシミヤ100%でも値段が異なる理由
カシミヤと一口に言っても、その毛のグレードには大きな幅があります。
色や長さ、太さなどの基準で等級が分けられ、当然、値段にも大きな差が生じます。高級なカシミヤは、羊毛ウールの約10倍前後の価格になることもあります。
最高等級のカシミヤを購入しているのは、主にヨーロッパやアメリカ、そして日本です。特に有名ブランドがこの高級等級の原毛を買い付けており、UTOのカシミヤもその一つに含まれています。
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(UTOのカシミヤは“阿拉善”)
2008年秋のシーズン初め、カシミヤの混率表示誤りが発覚し、新聞やテレビで大きな話題となりました。
カシミヤは普通のウールに比べて非常に高価な原料であるため、わずかな混率の違いが原価に大きく影響します。そのため、混率をごまかして利益を得ようとする事例が後を絶たないのです。
中には「サンプルは本物だったが、届いた現物は偽物だった」という詐欺のようなケースもあるため、品質チェックは決して手を抜けません。
カシミヤ製品が完成するまでには、多くの人々や会社を経由します。カシミヤの原毛は日本では生産できないため、紡績会社は輸入のたびに自社や公の検査機関で混率を検査しています。
もちろん輸出する側も、異物が混入しないように検査を徹底しています。異素材を混ぜる機会があるとすれば「綿」の状態に限られるため、原毛の段階での検査が特に重要です。
厳密な検査を行っても、原毛を束ねていた縄が切れ、その繊維が混入することで、99.9%という検査結果になる場合があります。しかし、意図的でない限り、1%を超える異物混入はほとんどあり得ません。
不測の事態に備えるため、法律ではカシミヤが97%、ウールが3%まで含まれる場合でも「カシミヤ100%」の表示が認められています。
しかし、信頼できるルートであれば、3%もの異物が混入することはほとんど考えられません。
「ケケン」と呼ばれる毛製品検査協会は、海外などから輸入された原料や製品が表示通りであることを保証し、不当表示を防ぐための機関です。
この検査を依頼するには費用がかかりますが、品質を守るためにも、UTOではしっかりと検査と証明を行うことが重要と考えています。
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