〜カシミヤ+ニットへのこだわり〜カシミヤ100%とはいうけれど、、何が違うの?
「同じカシミヤなのに、どうしてそんなに値段が違うの?」と度々聞かれます。
お店からも「お客様からそんな質問をされて困った」という話を聞きました。素朴な疑問だと思います。
毎日カシミヤを扱っているものとしては「特に風合い・肌触りは全然違うのになぁ」と思うんですが、専門でない人やあまり馴染みのない人は、微妙な違いは判らないかも知れません。
「触った感じで」といっても微妙な感触や感覚の違いですから言葉や文章ではお伝えできないもどかしさがありますが、無理もありません。
味と心とカシミヤニット
真心を込めたものづくり
的確ではないかも知れませんが、例えばこんな『お蕎麦の話し』の例でお話ししましょう。
海外の大生産地から大量に仕入れた100パーセント蕎麦粉を原料に、流れ作業で大量に作り込まれた麺をあらかじめ下ゆでした蕎麦玉。
「らっしゃい!」と、お客様が着たら、さっと湯通しして、これまたあらかじめ用意していたおつゆをかけて刻みねぎを乗せて素早くお客様に出す「立ち食い蕎麦」。安くて、忙しい仕事の合間では便利で有り難い存在ですね。
一方、熟練の名人が、厳選した産地の蕎麦の実を、石臼で粉に挽き、水にこだわり、おつゆのだしを吟味し、心を込めて打つ蕎麦。添えるわさびはもちろん生。
お店には季節の花が飾られ落ち着いた雰囲気に行き届いたサービス。
そんな中で頂くお蕎麦は値段は張るでしょうが、絶妙な味と心尽くしがお腹も心も至福にしてくれます。
どちらも本物の蕎麦粉100パーセントですからお蕎麦には違いありませんね。同じカシミヤ100%でも、このお蕎麦100%の話の例ぐらいに違いがあります。
奥が深い“カシミヤ100%”
良いニットは、こだわりを積み重ねた結晶
カシミヤの原毛は「繊維の太さ、長さ」などにより等級が付けられており、ピンからきりまであります。
それこそ価格もピンからきりです。
その原毛からどんな糸を作り上げるか、もちろんこれにも多くのノウハウがあります。
素晴らしい製品は、いい原料を使い、各々の工程の匠たちが日夜ベストを尽くして作りこんでいるんです。
それぞれの商品にはそれぞれの目的があり、その目的によってそれぞれの作り方がありますね。
より多くの人に買ってもらうために、より安くするために頑張っている会社もあります。それに向かって社員は日夜努力しています。
もし自分が安いカシミヤの担当者だったら、あの価格のカシミヤ製品を作れるか?
自信を持って「Yes!」です。
『繊維の太くて短い低い等級の原毛』を『太めの番手に紡績して』、『強めに撚りをかけ』た糸を作り、『甘めに編み立て』、『強めに縮絨と柔軟剤をかけた』製品を『大量に直売』する。
『 』のところがポイントですが、この商品は多分店頭にあるときが最高の風合いで着用したり洗濯するごとに劣化して、何シーズンもの着用には耐えられないかも知れません。
でも、カシミヤは他のウールに比べて抜群の柔らかさを持っていますから、等級の低い原料でも糸や編地が甘くてもあんまりなじみのない方には全然判らないし、また実際にこの程度のカシミヤを求めておられるのかも知れません。
しかし、こんなよそ様と比べるニットの話はちょっと悲しいので、もっと前向きな「UTOはこんなこだわりのものづくりをしています」という楽しい自慢話を、次回はしたいと思います。